「…そうか。歩香はキミにはすべて…
話したのか。ならキミもわかってるね?
歩香が…苦しい人生を歩んできたことを」
そして、お父様はそっと遠い目をした。
「歩香の本当のお父さんが犯したことは
許されることではなくてな…。しかし、
この子には何の罪もない。それなのに
ひどく深い、傷を負った…。」
そして、蒼くんの目をみる。
まっすぐ、まっすぐ…。
「私の目にも、見えていた。歩香の傷が、な。」
お父様は、しかしーっと付け加えた。
「キミと出逢ってからは、幸せそうにしていたよ。なんとなく気づいてはいたんだ。歩香に想い人がいると。」
「お父様…。」
あたしのことをそんなにも想っていてくれた。実は赤の他人なのに…。



