【完】貧乏な王子様!?





「…ところで。」




抱きしめたまま、蒼くんが口をひらいた。




「歩香、どーしたの?」




…あ、そっか。




あたし、一夜くんがいやで…。






「あのっ、実はね」





あたしは、蒼くんに全てはなした。




…一夜くんと結婚すること。


…そこを逃げ出したこと。



…すべてー。







最初は顔を歪ませていた。




「…結婚ー。」



「けど、あたしは蒼くんと一緒にいたくてここまで走って来ちゃった…。」






その瞬間、蒼くんの顔に笑みが戻った。




「…ツラかったな。」





そういって、あたしに優しくキスをした。