「…ところで。」 抱きしめたまま、蒼くんが口をひらいた。 「歩香、どーしたの?」 …あ、そっか。 あたし、一夜くんがいやで…。 「あのっ、実はね」 あたしは、蒼くんに全てはなした。 …一夜くんと結婚すること。 …そこを逃げ出したこと。 …すべてー。 最初は顔を歪ませていた。 「…結婚ー。」 「けど、あたしは蒼くんと一緒にいたくてここまで走って来ちゃった…。」 その瞬間、蒼くんの顔に笑みが戻った。 「…ツラかったな。」 そういって、あたしに優しくキスをした。