カラスside



「おい、クロス・・・さん、いるか?」

ボクは朝ごはんを食べた後、クロスの部屋に向かって声をかけた。
何故クロスはああ言ったのか。レシフィアが二人の事情を知っているならクロスは熱を出して寝てる、なんて言わないはず。
いや、レシフィアはボクが二人の事情を知らないと思ってそう言ったのか?
…それはない。もしそうなら熱を出して寝てる、じゃなく、朝早くから出掛けてる、と言うと思う。

「クロス、さん、居ないのか?」

返事が来ないので、もう一回声をかける。

「………カラスか?どうした、何か用か?」

扉が開いてクロスが出てくる。顔を見たら急に苛立ってきた。

「…あれ、どういう事?」

「あれって、何だ?もう少し分かりやすく頼む」

その言葉を聞いたら、次は怒りが湧いてきた。

「レシフィアは、本当に知ってるの…?」

「…あぁ、知ってるさ。お前が来たときそう言っただろ?」

嘘だ。ならレシフィアは何で熱を出して寝てるって言ってたんだ?
そう言おうと思ったけど、体が先に動いていた。

ゴンッ!

ボクは今出せる限りの力を使ってクロスを殴った。
クロスはバランスを崩し、倒れた。そして倒れたクロスの左胸に向けて護身用のナイフを投げた。

「……つっ!」

見事に刺さったらしい。クロスの顔が苦痛に歪んだ。
ボクはクロスに近づき、聞いた。

「ねぇ、クロス、レシフィアは本当に知ってるの?」

質問の意味をまだ分かってないらしく、苦しそうに「何のことだ…?」と言っている。

「だから!レシフィアはお前ら双子がアクマだって事を知ってるのか!?」