例え、この声が届かなくても…。


「俺食べてないよ。だって、見たもん。暁兄が姉ちゃんのプリン食べてんの。」

そう言うと、また、暁兄が挙動不審になるから、

「暁兄!やっぱり暁兄が食べたんじゃん!綜がそう言ってんだから。」

プリン食べたかったのにー。

「ごめんって。結愛。明日かってくるから」

私をなだめようとしているんだけど。

別に、プリンの一つや二つ無くてもいいんだけど。

ちょっと暁兄いじめてみよ…。

「じゃぁー。プリンとハーゲンダッツでいいよ。うちと、粽のぶんね。そしたら、許してあげる。」

私だけじゃぁ可哀想だから、粽の分までね。

「分かった。食べた、俺が悪いしね。」

ブーブー…。

「キミのくれたものー♪」

電話だ。この着信音は、美香からかな?

『もしもしー?』

『あっ。結愛、さっき電話したでしょ?』

『あー。うん。別に大した事じゃないけど。寂しかったから。電話しただけ。』