半分こ。



しばらくして。

着替え終わり
店の人にお礼をすると外に出る。


土方は近くの木に立ち
満足そうに笑っていた。

「別人みたいだな。」

女らしい薄紅色の着物に結い上げた髪。

眼帯の代わりには晒が巻かれている。


(なんか…楽しいかも。)

りんは土方が嬉しそうなので
嫌な感じはしなかった。

「似合ってんじゃねぇか。」

さらりと言う土方に頬が赤くなるりん。

「りん。…後ろ向け。」

りんは言われるがままに後ろを向く。

何かが触れたと思うと髪に
桜の花の綺麗なかんざしが付いていた。

土方が
着替えている間に買ってきてくれたのだ。

「あ、ありがとうございます。」

再び頬が染まるりんを見て
土方の顔が緩む。

(あぁ。この人は、どうしてこんなにも綺麗に笑うのだろう。)

ついつい見とれてしまう。

「たまには身分なんか忘れて、羽をのばすといい。」

土方はそう言って
りんの手を握り歩き出した。