世界は私達に優しくない

 

由希は急いでいた。

リズシアの言葉を信じた訳ではないが、凌空にもしもの事が合っては困る。

だから自分は、凌空の様子を見に行くんだと自分自身に言い聞かせ、凌空の部屋に続く階段を駆け上った。


(これで凌空が何でもなかったら、やっぱりリズシアさんの言っている事は嘘になる)


何処かでそれを望んで居た由希だったが、


「う、そだ…」


ドアを開けた向こう側には、床に蹲り苦痛の呻き声をあげる凌空の姿だった。由希が来た時と同じ様にカーテンが閉め切られた薄暗い室内。

その時よりも物が床に散らばり、写真立ては壊れガラスが凌空の傍に散らばっている。


「う"、あ"あ"。はぁ…ぐっ…」


右手で胸元の服を握り、蹲りながら左手で床に引かれて居るマットに爪を立て苦しみに耐える凌空の姿に、ドアの側で立ち尽くす由希は顔を真っ青にしていた。


(あの人の言ってることは、嘘だと思ってたのに。なんで…)