世界は私達に優しくない

 
「これ位じゃないと、俺は興奮しないよう?」

「し、しししなくて結構です!!」


なんて事を言うんだと真っ赤な顔で叫んだ由希は、その後ちらりと自分の体を見下ろしガクッと項垂れた。


「と、冗談はさておきっ」

「冗談だったんですか…」

「ん? 冗談半分本気半分かなぁ」


目の笑っていない笑みを浮かべたリズシアに、由希は呆れるしかない。


「色々言う事は有るんだけどさー、面倒臭いから今はこれだけ。荒川凌空の未来は…キミにかかってるんだよね~」

「え、凌空の未来…?」

「そう。キミの選択次第では…死んじゃうかもよー?」


サアーッと窓から冷たい風が入って来る様な錯覚が起きる。


「俺言ったよね? ヴァンパイアは血が必要だって。でも残念ながら荒川凌空はまだヴァンパイアじゃない」

「……」

「人間がヴァンパイアになる為には、血を飲まなきゃいけない。それも、自分の身近にいる大事に思ってる人の血をね?」


(冗談を言うのも、いい加減にして欲しい。私でも、そんな笑えない冗談には黙っていられないよ)


しかしリズシアの言葉には、言い様のない説得力があった。