月がとっても




「あと、俺のために泣いてくれてありがとう」

ありのままに思ったことを口にすると、神崎はますます涙を零した……。



しばらく経って神崎が落ちついてから、また参道を歩き出した。

途中、泣顔を隠すためにプラスチックで出来たキャラクターのお面を買った。


黄色の。ドラミちゃん。
未来の猫型ロボットの妹だ。

神崎は恥かしいと言って結局つけてはくれなかったけれど。





「どうして先輩は怒らなかったんですか……?」


「別に今更……宇宙人でもいいよ、俺は」



宇宙のなかに住んでるんだ。

俺も、あいつだって、みんな宇宙人だろう。




「……それに、宇宙人だったから、神崎にも会えたしな」


思ったままにそう言うと、神崎も俯いて「私も」と呟いた。



「私も、幽霊で良かったです」


「わっ、それはごめんって」



まだ覚えてたのか。

申し訳ないような、恥かしいような気持ちでいたたまれなくなる。