月がとっても



顔を向けると、同い年くらいの男女が数人グループで固まっていた。揃いも揃っても同じように明るく染めた髪の色にまず目がいった。


それから俺を呼んだそのグループのリーダー格の奴の顔を見た。誰だっけ。

呼ばれたってことは知り合いなんだろうけど、記憶に無い。



「小学校以来だよな?奇遇だなぁ、こんなとこで……っても、ここお前ん家 近くだっけ?」



小学校以来……?

その言葉に思い出そうとして、途端に背中に嫌な汗が流れた。


そう言えば、この人を馬鹿にしたような嫌らしい目つきには見覚えが合った。



(ああ、そうだ。こいつだ)

そいつの目を見て、少しづつ昔の記憶が甦ってきた。それは出来れば思い出したくない記憶。


俺が前髪を伸ばすようになったのも、眼鏡をかけるようになったのも、

すべてはこいつのせいだった。


いじめっ子と呼ぶにはぬるいけど、人のコンプレックスをわざと突いてせせら笑う奴。


小学生の頃と何も変わってない。