月がとっても






……目が覚めたら朝だった。

どうやらあのまま寝てしまったみたいだ。体を起こすと、「おはよう望」と朔がこちらを振り返った。



「あれからずっと描いてたのか……」

「うん。眠れなくてね」

そう言って朔は少し疲れたように笑った。


「あ!朝ごはんどうする?なにか作ろうか?それとも食べに行く?」

「ばか。朝飯はいいから、お前はさっさと寝ろよ」

「んー、そうしたいんだけど。これから学校あるしなぁ」

そう言って朔が欠伸を零す。


「授業あるのか?」

「ううん。生徒会の用事」


そういえば、朔は生徒会長をやってると前に言っていたっけ。


「なら、朝飯は俺が作るから風呂入ってこいよ。少しは眠気飛ぶだろ」

「そうする……。ありがとね、望」

「あぁ。じゃあキッチン借りるからな」

「うん」

「風呂場で寝るなよ」

「うん」



朔を風呂場に押しやった後、キッチンに立って朝食を用意する。

といっても、料理なんて全くしたことないからとりあえずトーストを焼くだけ。
これだけではあんまりなので、おかずになりそうなものはないかと冷蔵庫を覗く。

ハムと卵がある。
これでいいなとすぐに決めて、ふたり分のハムエッグを焼くことにした。


冷蔵庫にあったブルーベリーパイはあえて見なかったことにしよう。