月がとっても




「ねー、いいじゃん。やろうよ望」

「……わかったよ」



あることを思い出して、ねだる朔に頷いた。

……朔の通う学校、それは神崎の兄が通う学校でもある。


だからどうしたという訳でもない。

ただ一目だけ、見ておきたいと思った。神崎の兄を。



「やったぁ!! そうと決まれば早速準備しよう!!」

「準備?」

「そんなのもちろん、イメチェン!」


そう宣言され、そのまま朔に引きずられるように家を出た。

そうして強引に美容院にまで連れていかれた。金髪だった朔は俺と揃いになるように髪を黒く染め、俺は朔と同じ髪型に……。





「あら、さっぱりしましたね」


家に帰ると、沙織さんにはそう言われた。

視界が明るいのがどうも落ち着かない。眼鏡はそのままだけど緑の眼はもうほとんど隠せなくなってしまったことに少し不安だった……。



「変、じゃない?」


「いいえ。とても素敵ですよ」


「……ありがと」



沙織さんは嘘付かない人だから、その言葉に少しだけ安心した……。