月がとっても


お店のおばさんに、あんこのたい焼きを二つ注文する。焼き立てのそれを受け取って、駄菓子屋の裏のベンチに並んで座る。


俺は頭から。

神崎は尾っぽから。


こういう食べ方の違いもきっと性格出るよな。と、ぼんやり考える。


「……」

「……」


特に会話も無く、2人して黙々とたい焼きを頬張っていると、


「おばさん、マシュマロチョコカスタードいちごジャムたいやき一つ!」


そう聞こえてきた注文に、俺も神崎もぴたりと食べる作業を止めた。

マシュマロチョコカスタードに、いちごジャム?なんだそれは。


神崎も同じことを思ったのか、黙ったまま互いに顔を見合わせた。


「えっちゃん、焼き上がるまで裏で待ってな」

「うん!」

元気な声を上げて注文の主がこちらに歩いて来る。

あんな変な注文、一体どんなやつが……




「……あら、夏目くん?」


顔を上げると、見覚えのある赤毛に赤縁メガネ……同じクラスの黒沢が居た。