月がとっても



深海の魚を眺めながら、黒沢と話をした。

この赤毛の優等生とはそれまでまったく話したことはなかったけれど、まるで昔からの友達のように不思議と会話が弾んだ。好きな音楽のことや、学校のこと。

そしていつしか話題は、あの日の放送室での出来事になっていた。


「あの子……、神崎さんだっけ? あの子と付き合っているの?」

そう尋ねられて、いいやと首を振った。


「違うの?」

「違うよ。神崎とは、そんなんじゃない。

なんていうか、友達みたいな、妹みたいな……、どんな関係なのかは自分でもよくわからないけど。

……ただ、神崎が笑うと嬉しいんだ」