月がとっても


大きな水槽のなかに色鮮やかな魚たちが悠々と泳いでいる。



連休が明け、校外学習で水族館に行った。はしゃぐ同級生を横目に、俺は小さく溜め息をつく。



(つまらない……)

ひとりだから?

(いいや、違う)

ひとりなのは慣れている。

(……ただ、神崎がいないから)


溜息の正体を自問自答する。


連休をほぼ神崎と時間を過ごしたせいか、ひとりになると急に退屈になる。

こういうとき学年が違うと損だよなと思う。神崎が一緒ならきっともっと楽しかっただろうに。

なるべく人気のない場所を選んで歩いて行くと、「深海の魚」と書かれた場所に辿り着いた。深海魚が住む水槽に淡く光が灯されただけのひっそりとした空間だった。


そこで見知った赤毛の姿を見つけた。


「黒沢」

声を掛けるとゆっくり振り向く赤毛の同級生。

「あら、夏目君じゃない。イルカショー始まるわよ?行かなくていいの?」

「行くと思うか」

「ううん、思わないかな」


そんなやりとりをして互いに小さく笑った。