月がとっても




テレビでもその事故のニュースが流れた。

大きな事故だったと言っている。
巻き込まれたのは先輩だけじゃなくて、もっとたくさんいて……。



ニュースが流れ続けるテレビの電源を乱暴にきった。テレビも新聞も、好きだったラジオも、すべて遠ざけた。



なにも知りたくなくて。

耳を塞いで、瞼をぎゅっと閉じた。





(夢だったらいいのに……っ)



次に目を開けた時は、

まだ夏休み前で、

私は音楽室にいて、

ギターを弾いていて、


先輩もそこにいて……。



そんなことばかり考える。

そうなったらどんなにいいか。