月がとっても


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 夏目 望

(なつめ のぞむ)



夏目漱石先生の、"夏目"に。

望月の、"望"。

それが先輩の名前。

自分のことを宇宙人みたいだと言った人。


第一印象は、
無口で、とても怖そうな先輩。

背がとても高くて、少し長めな前髪と眼鏡のせいで表情はまったく読めないし、口数も少ないから。



後から知ったことは、

とても優しい先輩だということ。


あと、眼が綺麗で、本や音楽に詳しいこと。


それから、意外にもよく話すということ。




夏目先輩と私が知り合ったのは、私が中学2年生になってすぐ。

図書委員会の仕事で一緒の日の当番になったから。



……でも、私は1年生の時から先輩のことは知っていた。


毎日のように利用する図書室で、毎週月曜日にカウンターに座っている委員の人……そんな風に先輩のことを知っていた。


私はいつも放課後の遅くまで図書室に居たから、たぶんきっと先輩も私の顔くらいは知っていたはず。



顔見知りから、

知り合いに変わって、

ひょんなことから図書室以外でも話をするようになって、


一緒に音楽を聴くようになって……



それから、いつの間にかギターを教わるような関係になっていた。


本当に。

いつの間にかに。