俺様生徒会長

「分かってる！」


デカい声で怒鳴るとさっきまで騒がしかったのが嘘のように静まった。

ただ時計の音がするだけだ。


分かってる、それぐらい。

分かってはいるが…


「勉強は学年一位ですけど、恋愛は駄目みたいですね。」

「…悪かったな。馴れてないんだよ。」

「まあ、とりあえず彼女を追いかけに行ってみたら？」


那岐は仕事をしながら、俺らの顔を見ずに言った。


「僕、さっき水樹がグランドに向かってるとこ見たんだ。きっと先輩に会いに行ったんじゃないかな？」


「え……本当か？」


黙って頷いた。


「この間言っただろ？アイツ、新井は危ないって。一応水樹のためにも行ってあげた方が良いんじゃない？」


今度は俺の目をしっかりと見て言った。


コイツが言うことも一利ある。

だが、俺は行って何をしたら良いと言うんだ？

またアイツを傷つけるかもしれないと言うのに…


「どうするかは君次第だよ。」