その日の授業を終え部活に向かう。
部室に向かう途中陽介に会った。
どうやら、あの先輩が近くにいると言いに来たらしい。
「おい!話しかけろよ!今1人だからチャンスだぞ!」
「えぇ〜…変な子に見られないかな?」
「大丈夫、後でフォローしとく」
「ありがと、頑張る!」
頑張れよ、と背中を押されて私はピースサインをしながら先輩の方へ向かった。
大きく深呼吸して緊張を抑える。
大丈夫、きっと上手く話しかけられる…
目を閉じて話しかける言葉を思い出す。
よし、いける!
「あ、あの!」
そう言って一歩踏み出した時、体のバランスが崩れた。石につまづいたらしい。
「きゃ!」転んだところなんか見られたくなかったと思ったその時、何かに支えられて体が持ち上がっていく。
「あっぶねー…大丈夫か?」
まさか…うそでしょ⁉
顔をあげるとそこには先輩がいた…
「あ、はい! だ、大丈夫です…ありがとうございました」
「急につまづいたからびっくりしたよ…」
「すいません…」緊張しすぎて上手く話せない。
「いいって、それより君バレー部の子だよね?いつも入れ替わりの合図してくれる」
「え?覚えててくれたんですか⁉」
「もちろん」
「あ、ありがとうございます!」
私の事を覚えててくれたなんて…
嘘みたい…
「あ、今日はバスケが先に体育館使う日だったね…バイバイ!」
「はい!」
…ついに話せたんだ!あの先輩と。
夢みたいだったな!あ、そうだ名前。
あとで陽介か元岡に教えてもらおう。
こんなに頑張ったもの…
その日の部活はとても気合が入った。


これが私たちの出会いだったね…
今でも忘れない。
ねぇ、あの時…私がころんでなかったらどうなってたかな?
そして…私が話しかけたかったら、
あの人は悲しまずにすんだのかな?