次の日学校に向かっている途中で美保に会った。
「おはよ!恋華」
「おはよ〜!どう?部活は」
「きついきつい、もー筋肉痛だよ〜」
小学校の頃から習っている美保がキツイと思うのだからバドミントン部はとても大変なのであろう。
しばらく歩いてると後ろから聞き慣れた声がした。
「宮下〜」大地だった。その隣には陽介もいた。宮下は私の苗字だ。
「なに?」
「お前昨日も先輩に見惚れてたな」
「な…そんな事してないし!」
すると次は陽介が少し顔をニヤけさせながら
「いやいや、あれは誰でも分かるぞ?つか、お前あの先輩の名前知らねーの?」
「知るわけないでしょ⁉まだ部活入ったばっかりなのに…」
そういえばまだ知らないのだ…名前さえ知れば何かが変わるはずなのに…
「それじゃあさ、宮下があの先輩に話しかけたら教えてやるよ」
そう言ったのは大地だ。
「お、いいな、それ!さすが大地」
すぐさま賛成する陽介。
「ちょっと!あんたらいい加減にしなさいよ!恋華困ってるでしょ!」
そう言ってくれたのは美保だ。
「あ、あの…うち頑張って話しかけてみようかな…」
確かに話しかけるのは恥ずかしい…
でも何も変わらないよりいいと思った。
「よし!決まりな!あ、挨拶だけはダメだからな、あと入れ替わりの時の一言もダメだから」
勝手に陽介に条件を出された。
ちょっと待てよ…入れ替わりの一言もダメって…それ以外なにを言えって言うんだあいつは。
仕方ない、名前を知るためだ。
「分かったよ。やるよ…」
「んじゃ、楽しみにしてるからな」
そう言って2人は走って学校へ向った。
「ちょっと!恋華?あんな約束して大丈夫なの?やめときなよ!楽しんでるだけだよ…」美保は必死に止めてるのが分かる。
「でも…知りたいもん、あの人の名前」
「…そっか、恋華が言うならいいんだけど」
「そんな事より、美保…誠太くんいるよ」
「あ、ほんとだぁー!マジかっこいいー!」美保はまるでうさぎのように飛び跳ねている。
誠太くんは美保の好きな人で噂では両思いだそうだ。美保はとても綺麗で優しくて何でもできちゃう女の子だからモテモテの誠太くんでも好きになるのは分かる。
美保が誠太くんと話してる間に1人で教室に向かった。
今日の放課後はなしかけなきゃいけないんだ…なにかきっかけがあると良いんだけど…
その日の授業は何も耳に入らなかった。
ただ作戦を練るだけ。
つか…名前もしらないのにどうやって話しかけるんだ?