家に帰ると、留守電が入っていた。

ピーッ
「祈?おめでとう!頑張んなさいよ!じゃあもう時間ないから」プツッ

お母さん。

ピーッ
「祈ー♪とうとうお前もイカガクだな!学校で祈と会える♪ところでお前試験hプツッ

お兄ちゃん。

ピーッ
プツッ

ピーッ
プツッ

留守電は容量を超えていた。

全部、お祝いの言葉だ。

「っ…」ポタ

医療科学学園。
最先端の医療研究施設。

小さい頃、体が弱かった私。

酷い熱を出して、

どこの病院で見てもらっても治らなかった。

そんなとき、医療科学学園付属病院に出会った。

魔法のように軽くなった体を感じて、

「大きくなったら」


いりょうかがくがくえんにはいる。


私は目を開いた。

でも、今の学校から離れたくない。
だから、『一般選抜』の時に、

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
わざと併校生徒になるように手を抜いた。

医療科学学園は入試がない。
年二回、『一般選抜』があるだけだ。
少なくとも1万人は集まるなか、試験と実技と面接で評価される。
通学中の学校に行きながら、休日にだけ登校する併校生徒だけでもたった5人。
学園の寮に住む本入学は

たったひとり。

認められた幸せと、別れたくない思いが交差する。

涙が溢れた。
今の学校が好きだ。クラスが好きだ。友達がすきだ。
彼氏が好きだ。



ピルルル
電話…
出たくない…
のろのろ拾い上げると、「海」
海…
好きなのに。
付き合い始めたのはつい一月前
私から告白した。

「っッ…かい…っ」


「呼んだか?祈」


ベランダに海が立っていた。

「か…かい…」
私は座りこんでしまった。
「祈」
海の匂い。抱きしめられてるんだ。
「お前が進むべき道にいけ」
更に深く抱きしめられた。
「俺はずっと応援してる。」
俺のこと忘れんなよ?
「ありがとう、海。」
忘れるわけないよ!こんな最高で大切な彼氏!

祈、大好きだ。

「うぅッ…」
海は泣き出した私の髪を撫でていた。