〜凛〜


「うっ…… ヒックっ……」

私は今泣いてる。
なんでかって?

……バイクだよ、バイクっ!
速いっ! やっぱり速いぃっ!

「やだぁ〜 ヒック……」

「はい 掴まっててねー
速度あげるから」

「一ノ瀬ぇ 怖いぃぃっ‼︎」

「はいはい もう少しだから
……つか、いつまで「一ノ瀬」って
呼んでんの?」

「へぇ? 」

そういえば……
こいつだけ苗字だ……

……なんか、悪かったなぁ
ボディーガードしてもらって
るのに。

よしっ! 名前で呼ぼう

えーと……
……あれ?

「琴吹?」

「一ノ瀬って、名前なんて言うの?」

「マジふざけんなっ! 修哉だ
修哉っ! 覚えとけ‼︎」

しかし、またバイクのスピードを
上げる原因を私から
言ってしまう。

「……ぷっ! 修哉? 似合わないなぁ
あははっ!」

思わず笑ってしまった。
いや…… 悪いと思ってるよ?
修哉…… ふふっ。

一ノ瀬……いや、
修哉がニコッと笑った。

「よし 掴まっとけよ
スピードあげるから♡」

「へ……?」

やばい……
地雷を自ら踏んでしまった
みたいだ。

「え? 嘘でしょ?」

震える声で私は聞く。
視界がうるんできた。

「ん〜?」

修哉は気分がノッているようだ。
まさに地雷を踏んだ感覚だ。

ーブルルンっ……

「いやっ……」

ーブルルルンっっ‼︎

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっ‼︎‼︎」

かなりのスピードが出てるだろう。
私はマジで今日限りで死んでしまうかも
しれない……