雨宮色が作品集を作ると言う噂を知り、彩加は直ぐに行動した
絵画の撮影をしている知人に頼み込み色々なところから正確な情報を仕入れる
出版社をつきとめ、かなり強引に頼み込んだ
候補者は何人かいるらしく、雨宮色本人が気に入れば正式に採用とのことだった
まず雨宮色に会うことができる推薦を貰えた
あとは彩加の腕しだいだ
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「白井さんみたいに熱烈に応募された方は他にはいませんよ」
人の良い笑みで言ったの高橋という画商だった
まだ若い男は雨宮色のサポートをしているとのことだった
彼から彩加は憧れの雨宮色に紹介してもらえる
「雨宮先生の作品好きなの?」
「はい!凄く」
「どの時期が好きなのかな?先生の画風は一定じゃあないから」
雨宮色は様々な印象の絵を描く
時には繊細すぎるほど優しげな絵を描き、時に激しいばかりの怒りを表した荒々しい絵を描く
それはある一定の時期で変わるので、ファンの間でも好みが分かれる
変わらないのは絵の中の強い意志のようなものだけ
「はい、私は3年前の碧のシリーズが好きです」
「へぇ、中々通だね」
ついたのは高級マンションの最上階
話によると、雨宮色はそこを自宅を兼ねたアトリエにしているそうだ
扉を開こうとしてあっ、と高橋は言った
「なんとなく知ってるかもしれないけど、雨宮色先生はかなりの変わり者だから。何を見てもいちいち驚かないでね?」

