会うたびに、惹かれて......




優......








優はまた、下を向いて前髪を揺らした。



そして下を向いたまま、

私の顔を見ずに、また指を動かした。




《あすかの 友達に 幸せにしてあげて欲しいって言われた




その言葉で 俺 なにやってんだろうって 気づいた




聴こえる女の子を好きになっても 幸せにできるわけないって



わかってたのに......




俺が手話で話せば 俺が声で話しかければ 


あすかも変な目で見られてしまう




あすかに 迷惑を かけてしまう




あすかを大切に思うなら


離れてあげなくちゃいけないって


思ったんだ


離れたくなくても 離れなくちゃいけないって



思ったんだ》



下を向いたまま手話を続けている優の手を、


そっと包み込むように両手で握り締めた。



すると、優が顔を上げた。




「周りがどう思おうと、そんなの関係ない。



私は、周りの目なんて気にしない。



そんなことで、迷惑をかけると思っていたの?」





優は、少し考えてから頷いた。






「ばかっ!」




優に向かってそう言うと、


優はくりくりの目を大きく開いた。




「迷惑なんて思わないから!



今度迷惑をかけるって言ったら、



怒るからね!!」



そう言ってもうすでに怒っている私に、


いつまでも目をまん丸にしている優の顔が、




なんだかかわいくて......



ぷくっとふくらませた頬から、


ぷっと噴き出して思わず笑ってしまった。



すると優もつられて、大きな目を細めて笑ってくれた。






私は優から手を離して、もう一度手話で気持ちを伝えた。





《私は 優が 好き



優は......?》




そう手話で伝えてから、

優の返事を待った。





すると優は、私の左腕を掴んで自分に引き寄せ、



ぎゅっと抱きしめてきた。







「おれは、あすかが......すきだよ」