「私の......声?」
優は、優しく微笑むと「うん」と頷いた。
「一番俺に話しかけてくるのは、あすかだから。
あすかの声は、一番に覚えた。
だから、
結構どこでもあすかの声は聞き取れるようになったよ」
一番に私の声を.....
「うれしいな......」
「これからも、いっぱい話しかけてよ。
それがリハビリになるから」
これからも......
優は、頬杖をついて笑っていた。
そばにいてくれれば、いっぱい話しかけるよ。
毎日、毎日、
優がもういいよっていうぐらい、
話しかけるよ......
だから、そばにいてよ......
「何食べるか……」
優は頬杖をやめて、私からメニュー表を取り、
私に見せた。
ふたり違う種類のパスタを注文して、
お互いに食べあって、
優がずっと笑っているから、
幸せだなって.......
離れたくないなって......
外のクリスマスツリーがぼやけて見えるのは、
窓ガラスが、曇ったせいなのかな......
涙のせいなのかな.......
目をこすっては、また優を見て笑って。
食べ終わった時、
ふと優が後ろを向いて、リュックの中から、
小さな箱を取り出して、
私の前にそっと置いた。



