優しい君に恋をして【完】









優の頭を抱きしめて、


柔らかい髪を撫でた。




優はそれから、私をぎゅっと抱きしめたまま黙ってしまった。






しばらくそのまま髪を撫でて、




そっと膝を折って優の横に座ると、



優は目をそらし、下を向いてしまった。



私は優の両頬に手をあて、こっちを向かせると、



頬から手を離し、ゆっくりと手話をした。





「私は、聴こえない耳で生まれてきた優が好きだよ。


いっぱい悩んで、

いっぱい傷ついて、



それでも優しい心を持っている優が、私は大好きだよ。


正直、再手術なんて受けなくていいのにって思ってる。



こんな......またこんな思いをして......



こんな......」





我慢していた涙が一気にあふれ出し、両手で顔を覆って声を上げて泣いた。




泣いていたら、優しく頭を撫でられてまた涙が溢れた。





「俺......不思議と手術が怖くないんだよ」





優の言葉に、両手から顔を出すと、


優は優しく微笑みながら、私の頭に手を伸ばしていた。






「あすか......ありがとう」