優しい君に恋をして【完】





その写真の優は、病室でお母さんに抱っこされて、


頭をぐるぐる巻きに包帯で巻かれていた。


包帯の下から見える目はまぶたが腫れてむくんでいて、




それまで見てきた可愛らしい赤ちゃんの優とは別人の顔をしていた。






あまりにも痛々しい写真に、



ショックを受けてしまい、



そのページで止まっていたら、

優が隣から覗き込んできた。




「これは 手術した直後だよ。



俺 覚えていないんだけど 


全身麻酔で 呼吸器つけたせいなのか


泣きすぎたせいなのか


手術室から帰ってきたら 声がかすれて出なくて


吐いたり 痛みで眠れなくて泣いたり 入院中大変だったらしい。



それにまだその頃は しゃべることが できなかったから」




優はじっと写真を見つめていた。



こんなに小さな頃に、どんなに怖かっただろう.......



病気を治す手術とは違う、



ただ、




音を手にするためだけに......