しーんと静まり返ったリビング
ソファーに一緒に座ると、
ふたりで切ったロールケーキがのっているお皿を持った。
カチャ
カチャと、
食器にフォークがあたる音だけが響いて、
広すぎる部屋に二人きりなことを思い知らされた。
食べ終わって、
お茶の入ったグラスを両手で持って、
隣の優を横目で見ると、
優は、ごくごくとお茶を飲んでいて、
その優の喉の動きに、バカみたいにドキドキしてしまった。
私もゆっくりとお茶を飲み、食べ終わった食器を二つ重ねると、
一緒にキッチンに運んで、二人で洗って片付けた。
またソファーの所に戻り、
腰掛けようとした時、
腕をガシッと掴まれた。
「部屋 行こう」
顔から火が出るくらい頬が熱くなって、
こくりと小さく頷いて、そのまま下を向いていると、
優が私の腕をそっと離した。
そして自分のリュックと、私のバッグを一緒に持って肩にかけると、
そのままこっちを見ないで、リビングから出て行ってしまった。
急いで優の後を追いかけ、
うしろから階段を上ると、
階段から二つ目のドアを開けて、
優が中に入っていった。



