「明後日......」




どうしてそんな急に......


いつから決めていたんだろう......




そんなことを考えていたなんて、

全然気がつかなかった......




「いつ帰ってくるの?」



泣いて震える私の唇を、



優はじっと見つめていた。





「順調にいけば 夏休み最後の週ぐらいには


帰ってくるよ」



最後......そっか......




夏休みはほとんど会えないんだ......



優はそっと私の頬から手を離した。




「大丈夫なんだよね?命に関わるような手術じゃないんだよね?



無事に元気に帰ってくるんだよね?」


手話をする手に、思わず力が入る。


優は大きく頷いた。




「絶対に?」




「信じて 待っていて欲しい」





まっすぐ私を見つめて言った優に、


今度は私が、




大きく頷いた。






「手術して、聴こえるようになっても、


そのまま聴こえなくても、



どんな優でも、私は大好きだからね




無事に、笑顔で帰ってきて......」


泣きながら指を動かすと、


優はそのまま私を包み込んで、ぎゅっと抱きしめた。





「ちゃんと 帰ってくるよ」






そう言って、私の髪を撫でた。





大丈夫だよね......絶対に。




絶対に大丈夫だよね。






優の背中に腕を回すと、



ぎゅっと強く抱きしめて、


優の胸の中で、



大丈夫、大丈夫と、


何度も繰り返して、


何度も押し寄せる不安を、



どうにかして、



かき消そうとした。