優しい君に恋をして【完】






いつも学校に行く電車ではなく、

違う電車に50分ほど揺られて、

水族館のある駅に降りると、


そこからバスに乗り10分ほどで水族館に着いた。




バスから降りると、独特の香りがして、



海に向かって大きな水族館が建っているのが見えた。




手を繋いだまま館内に入ると、

ひんやりと涼しく、

ゆっくりと薄暗い中歩いていくと、


大きな青く光る水槽の中に、

色とりどりの魚たちが、キラキラと輝きながら泳いでいるのが見えた。



初めての水族館、


正直魚に全く興味がなかったんだけど、


こんなに綺麗なものなのかと、



大きな水槽の前で、その美しさに思わず見入ってしまった。




水槽を見上げて、そのまま隣の優を見たら、


優も水槽を見つめていて、


優の瞳がキラキラと輝いていて、


短く切った髪、



はっきりと見える耳、




その綺麗な横顔をじっと見つめていたら、



優がこっちを向いて、小さく笑った。



そしてまた、一緒に水槽を見上げた。




ゆっくりと館内を歩いて、ひとつひとつ水槽の中を覗いては、



目を合わせて、

微笑み合って、



言葉なんていらないって思った。



一緒に見て、一緒に感動して、


一緒に目を合わせて、微笑み合えれば、


ほら、こんなにも幸せなんだ。




音が聴こえるとか、


聴こえないとか、



そんなこと、関係ない。





一緒にいられれば、


優と一緒にいられるなら、


もう、本当にそれだけでいい。




優をじっと見つめて、そんなことを思っていたら、


優がこっちを向いて、ぽんと私の頭に手を乗せた。


「魚を見なよ」



あ、優ばっか見ていたのがバレた。



優はふっと笑って、ぽんぽんと私の頭を撫でると、


また水槽を眺めた。