裕『晋作、ちゃんと此奴を見ててくれよー
怪我させたら、俺が怒られるんだぜ?
〝鴨〟に』
閑梛『っ…』
父様は死んだ
けど、もう一人この世には〝鴨〟がいる
声も雰囲気も父様にそっくりなんだ。
晋作『あー、はいはい』
晋作は俯く私の腕を掴み優しく引いて上の部屋へ向かう
晋作『気にすんなよ、、、裕だって悪気があるわけじゃねーんだよ』
裕の主はもう一人の〝鴨〟だ
苗字は無く
ただ、〝鴨〟と呼ばれる人物。
〝鴨〟は私を娘同然の扱いをする
もしかしたら、父様…と思ったこともあったが
違う
父様は私を〝閑梛〟と呼ぶけど
〝鴨〟は〝しー〟と呼ぶ
武市『閑梛、おかえり』
部屋に戻ると武市先生が迎えてくれた
以蔵も私の後ろから入ってくる
閑梛『ただいま』
にこりと笑うと晋作から手を離し
武市先生の横を通り過ぎ桂さんに抱き付く
桂『おや?どうされますか?』
桂さんは私の髪を撫でる

