セキの右手が隆裕の肩を殴る。


隆裕の左手がセキの頭を捕らえて…



セキは、嬉しそうに「…つえぇな、」と呟く。


セキの襟を掴むと 背中を床に叩きつける。




セキはその勢いで立ち上がると、


隆裕の体の側面を蹴って………



セキの頭をもう一度殴ると



「ん……だこれ」


フラフラと倒れた。


「隆裕!隆裕、大丈夫!?」


「秋穂こそ、また……頬腫れてる」



またって………



「…原のときも、俺なにやってんだろ」



「隆裕は大丈夫?」



こんなの、どうでもいいのに。



「…バカ、怖かったでしょ。」



抱き締められると、張っていた糸が切れた。



「…………怖かった」



「秋穂はもっと甘えていいんだよ。


俺の前ではもう強がるのは、やめていいんだよ」