「よしよし」 「あたし子供じゃないし」 「優しい子だよ、秋穂は」 ………人のこと絶対言えない。 「隆裕」 コートの袖を引っ張った。 「あたしちょっとくらいバカでよかったかも」 「…ちょっとっていうか「うるさい」 隆裕のフスッなんて笑いが聞こえた。 「何割か薄めてちょっとくらいって言ってるし…」 「俺もそういう秋穂が大好きだから」 大好きって言葉が普段よりも何倍も重く感じた。 鞄にいるぬいぐるみが、少し悲しく感じさせてくる。