七海遅いな
「…そろそろ見に行ってきますね」
「ちょっと待って。俺も行くよ。まだ七海ちゃん帰ってきてないし」
雅人さん……
「ねぇ、秋穂ちゃん」
教室を出ようとした時、呼び掛けられた。
「俺と付き合わない?」
自分の目が大きく見開かれる。
「…これでラスト。」
暫く、停止したあとにゆっくりと振り向いた。
雅人さんの方を見ると恥ずかしそうに頬を掻いた。
「あんま見ないで。人生でトップ3に入るレベルで緊張してんの俺」
「正直言って、単純に嬉しいです」
雅人さんは笑顔を作る。
「…アイツには勝てず仕舞いか」
「本当に本当にあたしの相談いつも乗ってくれて、ありがとうございます。
他にもたくさんお世話になったし…」
「秋穂ちゃん、もう言わないで」
雅人さんがあたしの言葉を遮った。
「離れらんないから、もう言わないで」

