「謹慎処分だよ、こちとら」
「触んないで」
どうしよ。
ギュッと目を閉じる。
殴られると思った瞬間、あたしを捕まえていた手がほどけた。
「え?」
目を開けると倒れているSヶ峰の人。
「ったく。俺らが勝ったの、そんなに嫌かよ」
後ろに立っていたのは陵くん。
「ど、どうしてこんなところに」
「走ってるついでにコンビニ寄っただけ」
街灯に半分だけ見える陵くんはSヶ峰の人を見ながら屈む。
「……気に食わねえよな?あの喧嘩上等のSヶ峰が、澤中の1年に負けたんだからな」
「陵く…」
「怪我、ねえか?」
近付くと真面目なトーンでそう答えられた。
「ありがと」
「……ん」

