大きめの本屋さんに入るのは久々な気がする。
「参考書って何の参考書?」
「ん~…とね、これなんだけど」
手に取ったのは数学Ⅲの参考書。
「さ、Ⅲなんてやってるっけ?」
「ん?取ってる人は取ってるよ」
レベルが違いすぎて物も言えず。
「隆裕はどこ大学入りたいの?」
「えっとね、ここだね」
隣にあった全国大学の冊子を開いて見せてくれた。
あたしでも名前の聞いたことがある大学だ…。
「ちょっと見てもいい?」
「どうぞ」
重たくて分厚い本を受け取って見つめる。
ここの医学部、かあ。
隣のページを見てみると知らない大学で、…でもこの学校の近くらしい。
「こっちの大学は?」
「ん?ここ?お洒落とか美容とか強い大学だね」
「へー。隆裕やっぱり何でも知ってるね」

