バスから降りると、久々の海に隆裕と目を合わせて笑ってしまう。
「本当にここは綺麗だよね」
「ちょっと懐かしいね。全然僕ら行けてなかったからさ」
キャリーバッグを民宿まで運ぶ。
今回は日数が多いので若干重たいな…。
「秋穂ちゃん!民宿こっちみたいだよ」
「おお、いい感じだ」
暑苦しいので体操服の半袖を肩まで捲る。
ふと、おじいちゃん達の海の家が目にはいった。
隆裕に告白した場所。
雅人さんと出会った場所。
七海たちとの思い出もある場所。
一年間で色々あったけど、それぞれにあたしたちは今変わっていっている気がする。
「秋穂ちゃん、急ご?」
「ごめんごめん、行こっか」
その場所に背を向けつつ走った。

