部屋に入ると、そこではもう一人の男子もだるそうに座っていた。
「あれ、奇遇じゃん」
そう言ってみせたのは
「…誰」
「俺だよ、陵」
その髪の毛は白くなっていた。
「って白髪!?」
「うるせえよ!ここだからそう見えるだけで本当は白と黒のアッシュだよ」
ああ、影のせいか。
「知り合いなの?」
「…さあ」
陵くんはそう言った。
あたしは隣の席に座る。
「大体さあ、この学校で髪染めてる奴なんてもっといるだろ」
「今はあなたたちに怒ってるの、一度にたくさん怒っても意味がないですから」
道理には叶ってる…?
「…入学式で無理矢理黒染めさせに帰らせたのにまた変な髪型にして」
「てかあたしこの学校何でもOKかと思ってたわ」
陵くんも「俺も」とうなずく。
「ちゃんと校則読んできなさい!」
「…皆が皆『髪色自由』って言うしさ。入学したらすぐにくそチャラいのに変なこと言われたし、そこから救ってくれた隆裕の友達は赤髪だし」
陵くんが吹き出した。
「お前そんなんだから1年で噂になってんだよ」