煙草とキス





………ついさっきまであたしは






快斗とメイの関係は、“過去”として流したんじゃなかったの?







なのに、急に涙が溢れてくる。




理由も分からないのに、流れる涙は一向に止まる気配がない。








「れ、澪ちゃん?」




一気に精神を乱したあたしに、世那は戸惑ったように声をかけた。





だけど世那の声は、あたしの耳に届いてなくて







「嫌っ………もう…嫌だ……」








あたしは、恐い夢でも見た子供のように





ただただ、声を上げて泣いた。











すると、突然……………











「澪ちゃん、ごめん」







ぽつりと呟いた世那が





ギュッと力強く、あたしを抱き締めた。










「……えっ………?」







あたしの体が、世那の腕の中で締め付けられる。




思考回路は、あっという間に停止。






頭の中でごちゃごちゃしていたものも、全部真っ白に染まった。










「そんなに……強がんないでほしい」







願うように言った世那の手は






あたしの長い髪を




ギュッと握って、首元に顔を埋めた。