煙草とキス





「……………これって」





チラッと世那の顔を見ると



世那は、その紙に目をやった。






「……メイの連絡先。
オレと知り合いだって言ったら、メイに慌てて渡されたんだ」




世那は、苦笑しながら言った。







きっと、あたしに気を遣っているのだろう。





快斗とメイの過去の関係を知り


傷心になっているあたしに。








けど、あたしはそんなことない。




傷付いてなんかいないし、メイを嫌ったりはしていない。



快斗に対してだって同じ。







だって、あたしだって



快斗の仲間である龍也と付き合っていたことがあるんだし







快斗にだって、交際経験はある。






ただ、その中のひとりが



メイだったということだけなのだ。










「なんか余計なことしたな……ごめん」




「ううん、世那は悪くない」




「けど、快斗とメイのこと……」





「だからっ、もういいの!!」









そう、声を荒げた瞬間




涙がどっと溢れてきて、訳の分からない感情の波が押し寄せた。









ああ………





あたし、どうしちゃったんだろう。







再び頭の中はぐちゃぐちゃで



心の中も、ぐちゃぐちゃで







あたしの体は、また震え始めた。