「でもさ、快斗ってクールっつーか…
冷たくて恐いときあるじゃん?」
世那が、少し声をひそめて言った。
それに対してあたしは、苦笑しながら相づちを打った。
「それが、メイにはきつかったんじゃねぇかな…。
急に行方をくらまして、学校も辞めちまって音信不通。 ひでぇよな」
またもや、あたしは苦笑した。
メイが突然消えると、
快斗は平然を装いながらも、当時から仲の良かった世那に、弱音を吐いたそうだ。
今の快斗からは、想像もつかない。
当然、好きだった人が急にいなくなれば、心配もするし
何故か、その人への感情が一気に蘇って、恋しくなる。
人間って、愚かなものだ。
大切なものは、失ってから
如何にそれが大切だったのかを、思い出から思いしらされる。
そばに在るのが、あたりまえ。
それはそうかもしれないけど
いつかはきっと、それを失くす。
それをどう失うのかが
タイミングによって、様々。
快斗がメイを失ったのは
“突然”という、タイミングだったのだ。


