“演技”って………何?
どういうことなのか、さっぱり分からない。
「世那、よく分かんないんだけど……」
「だよな…。いきなり言われたって、分かんねぇよな……」
さっきまでの荒々しい声とは違う世那の声が、あたしの耳に流れた。
「快斗には言われてないだろうけど、オレ、言わなきゃ気が重いし……。
澪ちゃんも、メイのこと気になると思うから…」
本当に、気が重そうな声で話す世那。
そんな世那の感情が、電波を伝って入り込んでくる気がした。
「まだ快斗たちがbitterを組む前に、メイと快斗は、5人でバンドを組んでたんだ」
────それは、5年前のこと。
当時、高1だった快斗とメイは
学校は別だったが、共通の友達を通して出会い、意気投合したそうだ。
お互い、音楽の趣味が合うことから、メンバーを集めてバンドを組むことに。
高校生バンドではあったが
メイの雰囲気と存在感、そして、ずば抜けた歌唱力が話題となり
度々、ライブ活動もしていた。
そして、気の合う2人は
いつしか、“仲間”の領域を越えて、
“恋人同士”となっていた。


