ライブハウスへ入ると
小さな会場内はぎゅうぎゅう詰め。
それでも客は跳びはねながら
もう始まっていた、快斗たちのライブに熱狂していた。
さすが、人気バンドだけある。
この日1番の盛り上がりようで
スタッフも客も、
みんな 驚いていた。
あたしは、更にヒートアップする客と快斗たちを
入口からジッと見つめていた。
快斗は、ステージに立って歌い始めると
クールさは変わらないけど……
目力と、声が変わる。
その目と声に、なにもかもが奪われる。
つい先ほどまで
ライブハウスの裏でキスをしていた
あの快斗とは全く違う。
「キャーッ!快斗ーっ!」
女ファンの歓声が
本当に、すごかった。
それでも動じずに歌い続ける快斗も
本当に、すごかった。
あたしは、跳びはねもせずに………
ただただ、快斗と………
その後ろの龍也だけを、見つめていた。


