「それじゃあ、そちらのご想像にお任せします」
あたしが世那にそう言うと
またケラケラと笑った。
「じゃ、ヤッたことにしとく。
今日も見に行ってんだろ?あいつら、トリだしな」
髪の毛先に残る
快斗の煙草の匂いをかぎながら、
あたしは相づちを打った。
「でも、そっちも今日ライブでしょ? しかも、トリでね」
「あ、知ってた?」
「知ってたよ」
「………龍から?」
すると突然、世那が声色を変えた。
あたしは…………
その名前を聞いて、黙った。
「澪ちゃん、まだ龍と繋がってんの?」
無情にも、雨の音が鳴り響く。
「別に、龍と会うなとは言わないよ?
bitterのドラマーだから、会わないわけにはいかないし…」
「けどさ、龍は相当女グセ悪いし。もう、あの頃の龍とは別人だから…。
澪ちゃんには快斗が居るんだし、龍との関係は持たないようにしてほしいんだよね」
世那は、ため息をつきながら
あたしにそう話した。
あたしは、唇を噛みながら
話を聞いていた。


