煙草とキス






「……世那っ!?」






あたしの頭に手をやっていたのは




なんと、世那だった。








「シーッ! 大声立てんなよっ」




思わず大声を出してしまったあたしは、


世那に、小声で注意されてしまった。





「あっ、ごめんごめん……」



あたしも、そう小声で言って、口をつぐんだ。





すると、世那はククッと笑った。



大声を立てないように、抑えたような笑い方で。






「ったく、スタッフに見付かったら、ヤバかったと思うよ?」




「でも、世那だって何してんの?」





あたしがそう聞くと



今度は世那が、大声を出した。






「はあっ!?
もしかして、オレらの見なかった?」





世那の声が、この空間に響いた。



でも、誰にも気付かれなかったようだ。







「えっ、なんかあった?」





そう言って、首を傾げる。




すると、世那は深いため息をついた。