「……世那っ!?」
あたしの頭に手をやっていたのは
なんと、世那だった。
「シーッ! 大声立てんなよっ」
思わず大声を出してしまったあたしは、
世那に、小声で注意されてしまった。
「あっ、ごめんごめん……」
あたしも、そう小声で言って、口をつぐんだ。
すると、世那はククッと笑った。
大声を立てないように、抑えたような笑い方で。
「ったく、スタッフに見付かったら、ヤバかったと思うよ?」
「でも、世那だって何してんの?」
あたしがそう聞くと
今度は世那が、大声を出した。
「はあっ!?
もしかして、オレらの見なかった?」
世那の声が、この空間に響いた。
でも、誰にも気付かれなかったようだ。
「えっ、なんかあった?」
そう言って、首を傾げる。
すると、世那は深いため息をついた。


