煙草とキス




沸き立っていた会場が、一瞬にして静かになった。




ほんの1分くらい前まで声を上げていたひかりさんも





黙り込んで、ジーッと暗転したステージを見つめていた。







ゴクリ、と喉を鳴らしながら



生唾を飲む。






すると……………









突然、パッと白いスポットライトが快斗に向けられて




快斗がギターで前奏を弾き始めた。






そして、その数秒後に



セカンドギターとベース、ドラムが一斉に鳴り出して





客が、もの凄い歓声を上げた。





独特な雰囲気のサウンドを奏でるbitterと




そのサウンドに酔ったかのように、リズムに乗り始めるファン。








それらがライブハウス全体を揺らす。



あたしの心臓も、大音量で拍を刻む。







快斗の、何とも言えぬ……



色気のある歌声が、ステージからホール、ライブハウス全体へ響けば






あたしの脚は、何故か震えて



体中に、鳥肌が立っていた。