煙草とキス




────「超~良かった!!」





ライブハウスから出ると、相変わらず雨が降り注いでいた。




でも、あのライブの熱気でほてった体には



雨の冷たさが、ちょうど良い。





それでなのか



ひかりさんは、傘も差さずに、興奮した声を張り上げた。








「なんだろな、あの…世界観?オーラ?
もぉ、一気に心奪われちゃった」



ひかりさんの言葉に、あたしは大きく頭を縦に振る。





そしてもう一度、ステージの上のメイを



頭の中で、思い浮かべた。











『あっ、あの……。
メイ、ALICEってバンド組んでるんです。
それで、今度ライブするので…。
もし良かったら、聴きに来てください!』






あの大雨の日…………




メイは、たどたどしい口調であたしに話しながら、バンド名刺とライブのビラを渡してくれた。







だけど、今夜見たメイは





………………全く違う。