煙草とキス




「メイーーッ!!」


「キャーッ、メイー!!」





止まない歓声の嵐は、



そのほとんどが、メイに向けられていた。







そんな歓声にメイは微笑みかけて、無言でスタンドマイクを握る。




そして、洒落っ気のある男がドラムスティックで拍を取ると…………











一気に鳴り響いたギターとベース音が



ファンの歓声を揉み消すかのように、大きく震えた。







その瞬間、ファンたちはもう…



一心不乱に拳を突き上げ、体をぶつけ合いながら跳びはねた。





隣にいたはずのひかりさんも、いつの間にか、



跳びはねながらステージ前に移動して、メイに両手を伸ばしている。







「別人みたい……」




メイの真の姿なんて知らないけど、あたしはポツリとそう呟いていた。