煙草とキス



ホールへと向かう通路は



着飾ったファンやらで、ごったがえしている。





「なんか、ドキドキする~」




「えっ、そうですか?」





胸を押さえてホールへ向かうひかりさんは、なんだかおもしろかった。





「澪ちゃんは、ドキドキしないの?
私なんかより楽しみにしてるでしょう?」





あたしが、シラッとしていると



ひかりさんはあたしの顔を、覗き込みながら聞いてきた。





「してますよ? けど、なんていうか…。
こういう雰囲気には、慣れちゃって」




「確かに澪ちゃんは、もうライブを観に行きまくりだもんねー。そりゃ、慣れるか」





うんうん、と大きく頷いたひかりさんに、あたしは微笑みだけを返した。