煙草とキス





「……澪、苦しいんだけど…」





突然、快斗の声が耳元で聴こえて



あたしはハッと我にかえった。







「あっ……。ごめん」




「別にいいけど」





無意識のうちなのか、何なのか………




気付けば、あたしは快斗の胸に額を押し当てて、



ギュッと力強く、抱き締めていた。







「急にどうしたわけ?
今まで見送ったこと、あったっけ」



快斗がニヤけながら言い、あたしは体を離した。





何故か、胸がキュッと痛んだ。




心臓を針でつつかれたかのように……。






それであたしは



体を離してからも、快斗の服を握りしめていた。







「ごめん、快斗……」




あたしはポツリとそう呟いた。