「……澪、苦しいんだけど…」
突然、快斗の声が耳元で聴こえて
あたしはハッと我にかえった。
「あっ……。ごめん」
「別にいいけど」
無意識のうちなのか、何なのか………
気付けば、あたしは快斗の胸に額を押し当てて、
ギュッと力強く、抱き締めていた。
「急にどうしたわけ?
今まで見送ったこと、あったっけ」
快斗がニヤけながら言い、あたしは体を離した。
何故か、胸がキュッと痛んだ。
心臓を針でつつかれたかのように……。
それであたしは
体を離してからも、快斗の服を握りしめていた。
「ごめん、快斗……」
あたしはポツリとそう呟いた。


