「おまえが好きな方行けば?
当日券だってあるだろうし。
小さいとこだし、入口からも覗けるはず」
快斗は、あたしの手からそのビラを引ったくり、
見つめながらあたしに言った。
「bitterも見たいし……」
あたしが唸ると、快斗も唸った。
だけど、すぐに快斗が口を開いた。
「じゃあ、ハーフで見ろよ。
俺らのとそんなに離れてないし、あっちもタイバンなんだろ?」
「うん、たぶん」
そのビラを見ると
メイたちのバンド、ALICEは、5組中一発目だった。
快斗たちは最後から2番目だから、時間的には都合が良い。
「ま、ALICEだっけ?
そいつらの偵察も頼むよ。腕とかさ」
笑みを浮かべながら快斗は立ち上がり、
ベッドの上に転がったリングを、指に2つはめる。
そして、ギターをソフトケースに入れて、ひょいと肩に掛けた。


